平成11年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
麹菌如才J ぴSp.のぺクテナ帥ゼ及びセルラーゼに関する研究(第2報)
佐野一成・江藤 勧。萩尾 隆*・久米 尭*・森口光瞭** 食品工業部・*うすき生物科学研究所・**大分大学工学部
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要 旨
醤油麹菌・焼酎麹菌の遺伝子組換えによる改良育種に関する基礎的知見を得るために,励J J び属の融合株であるPM菌を対象とし て研究を行った。ぺクチナーセ及びセルラーゼ清性を有する酵素タンパク質について,各種クロマトグラフィーにより分離・精製を進める とともに,培養射牛についても検討したところ,培家財割こより酵素の発現・分泌が影響を受けていることが示唆された.また,酵素遺伝 子のクローニングを目的としたc洒Aライブラリの作成に着手し,0。5∼鞄の遺伝子断片が挿入された,1.0Ⅹ108のサイズのライブラリを 得た.
2.方 法
2.1菌株
うすき生物科学研究所が所有するPM菌を用いた.
PM
菌はA.城野闇0311之5株と月,聯ぼ05888株の細胞
融合により取得された融割架である。 2.2 PM菌の培養
フスマ粉末に大豆煮汁とペクチン或いはセルロースを添加し た培地に,予め調製した麦麹を接種して300Cで培養した.液体培 養についてはCz 聯k−Ye追t 汝t r 誠t 培地に大豆煮汁を潮口しタ 3ぴCで振盗培養した.
2.3 酵素タンパク質の分離・精製
フスマ麹を酢酸緩衝液(p軌0)に懸濁,撹絆したのち∴遠心分 離して麹抽出液を得た.この麹抽出液を限外ろ過により濃緑した のち,緩衝液を置換して粗酵素液を得た.粕酵素液をカラムに供
し∴ 溶出液を分取した。酵素活性測定により清性画分を追跡し, 回収した画分をさらにカラムに供して精製を行った.
酵素酒性の測定は,ペクチン或いはカルポキシメチルセルロー ス(C檻)を基質として∴酵素反応によって生じた還元額量を, So恥野i −馳1s on法によって測定することにより行った曾ベタチナ ーゼ惰性については粘度低下を測定する方法も併用した.
2.4 c跳Åライブラリの作成
培養したPM菌体を液体窒素で凍結◎ 粉砕しタ融d鞄enoI Gu狐ま鮎ⅧCbl or of o門狙(拶躍)法によりもot al 誹Åを抽出した. 感触の精製は0皇ま酢併一認知野㌢80CぬeDi 郷OSt まcs 社製)を 用いて行った。感溺ÅからのCD私の合成,ベクタ血へか連結は熟汐 cD狼S脚t hes i s 監i t (St 陀七喝ene社製)を用いて行った.またカ バツケージングにるまG鼠g轡班女王‡ ‡鋸d p誠k喝ま喝e戒撒C七 1.はじめに
近年,バイオテクノロジーに対する需要は県内の様々な産業分野 で高まってきている.当県の主要な食品産業である瞬層。醤粗酒 類製造業等においても,高品質・高付加価値の製牌や製造工程 の甜ヒ,廃勲雛)減量化などに対応できる微生物の実用化が望ま れている.
伝統的に醸造食品の製造に用いられてきた麹菌(東関閻肌鹿 野.)は多くの有用な酵素,有機酸等を菌体外に分泌することが知
られており,それらの工業生産にも広く利用されている.このよう な背景もあって,麹菌の遺伝子や生産するタンパク質に関する研究 も広く行われており,d.刀J 血r 郡eeについては全ゲノム酉汐りの解 析も報告されている.本研究で対象とするぺクチナーゼ,セルラー ゼは,植物柑抱の強固な細胞壁の構成成分であるペクチン質やセル ロースを分解する酵素で,この作用により植物組織の強度を低下さ せることができる.これにより,もろみの粘度の低下,ペクチン, セルロースの分解産物自体を含め,従来未利用であった㈱績内 部の炭素源の資化等が期待される。
PM
菌は励ノブび属の融合株で,強い㈱性を
有していることが確認されており,いくつかの酵素活性の強さ,酵 素分泌量は親株のそれを上回っていた。細胞融合により得られた融 合抹が親株より強い晒性を有することはまれで,当初の目的に添わ ない性質が現れることもあり,このことが遺伝子組換えによる改良 が行われるようになった一因でもある.そこでj 本研究ではj PM 菌が高い活性を示すようになった原因を解明しタ醸造弔麹菌に応用 する技術の建立を冒的とし,その基搾となる知見の収集を試みるこ ととした‘
平成‖ 年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
いう傾向が見られた. (St 陀t 裾飢e社製)を用いた.
3.結 果
3.1ペクテナーゼの分離・精製
抽出した粗酵素液を10劇酢酸アンモニウム繍軒夜bH5.0)で 平衡化したα一冊肝E脱力ラムに供し,吸着した画分をN戚1濃 度勾配により溶出したげi g.1).カラムに吸着しなかった画分と 塩激変勾酉紅)画餅こ複数の活性画分が見出された.このうち塩濃 度勾配の前脚こ溶出した画分を回収し∴餌t yl J mY肝姐カ ラムに供し,(Ⅶ4)2SO4の濃度勾配で溶出したところ,f i g.2のよ うな溶出パターンになった.その他の画餅こついても精製を進め たが,いずれの場合も精製を進めるにしたがって酵素活性の低下 が見られた.また,培養のロットによって溶出パターンが異なり, 再現性に乏しいという傾向が見られた.
111 21 31 41 引 61 71 81 9110111112113114115116「
雷i g。3 Sl 即吟・mY肝E瓜カラムの溶出パターン
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0.1
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暫i g.4 伽戒カラムの溶出パターン
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3.3 c洲Åライブラリの作成
凍結破砕したPM菌体より,甜℃法にて母払を抽出し,つづい て嘘訓Aの精製を行った。Tot al 甜A約1喝から約罰〟gの戯Å
を得たげi g.軋
12 3 ぎi g.1C淋珊Y肝EA礼カラムの溶出パターン
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Fi g。5 To七山郡Aの抽出 1;固体培養菌体の鍋Å 2;液体培養菌体のR狼 3;液体培養菌体の戯Å
絶 妙 軍 胡 開 鰯 潤 め 的†㊥l 翰l 刑】鮪† 哺 t 肺1防
ぎi g。2 餌t yl 一冊ⅦPE脱力ラムの溶出パターン
3。2 セルラーゼの分離・精製
抽出した種酵素液を1晩成リン酸醸使節夜餅6.8)で平衡化し
たS喝把付職Y野馳弘カラムに供し,吸着画分凌Ⅷ威1濃蜜勾配に
より溶出した(F建.3)∴悟性測定の結晃最も高い吸光度のピー
クが見られる位置に溶出した画分に,より高いセルラーゼ酒性が
確認された。この画分を回収し,押∽システムを用いて恥n威力
ラムによるクロマトグラフィーに供した(ぎi g。覇.精製量が少な
くタ詳しい解析はできていないが,下線部の画分にセルラーゼ活
性が含まれていると思われる.また,前述のベタテナ岬ゼの分離色
精製の隙と同様に∴培養ロットによって溶出パタ脚ンが異なると
っづいて感潜Åを鋳型としてCD随を合成し,サイズ分画乳
1.馳以上の大きさのC漕Å断片を人ベクターに連結した・市販
のキットを用いてプア… ジ粒子のパッケージングを行い,1.9Ⅹ
10壱p蝕舟i のファージを得た.ポジティブのプラークからファー
ジD狼を回収して訳語法により挿入断片のサイズを検討した
(晦。6)ところ,0.5∼3軸のCDⅣA断片が挿入されていること
が確認された.得られたファージを且cロゴプ温トヨ1ue派野、に感
染ざせてライブラリの増幅を行い,鮒に1。0Ⅹ106のサイズの
ライブラリを得た.
平成11年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
応性の異なる複数の酸素の協調作用により強い酒性を示していた ものがj 精製の過程で分離されたために,鬼かけの汚性が低下し たものと考えられる.培養ロットにより溶出パターンが変動する 点についてるも培嚢対物微妙な違いにより生じていると思われ
る。これ乱用いる培地が合成培地ではないため,培地の組成を 厳密に均一イヒすることが困草なこと,麦麹を接種するという培養 方法をとっているために,培養初期の菌体量にも差が生じること などが原因と考えられる.また,ぺクテナーゼ,セルラーゼとも, 定常的に発現している酵素ではなく,特定の環境で発現する誘導 型の酵素であると推定される.却祭に,培地にべクテンを潮口す ると∴無滞加の場合に比べて酵素の分泌量の立ち上がりに差が生
じることも確認された.
さらに∴将来的な邁伝子髄換えへ向けての酵素遺伝子の取得を 目的として,C珊Aライブラリの作成に着手した.市販のキットを 用いてC釧A合成,ファージヘのパッケージングを行った.cD払 をサイズ分画後,1.5k辱以上の画分をベクターに連結し,冗R法 により挿入遺伝子断片を確認したところ,0.5∼3軸のmAが増 幅された.最終的に得られたライブラリのサイズはおよそ1.0Ⅹ 108であった.
今後は,酵素タンパク質の分離・精製を進めるとともに,今回 作成したcD弘ライブラリを用いて目的酵素の遺伝子を保有する クローンのスクリーニングを行うことになる.ブロープの作成に あたっては,項在精製中のタンパク質のアミノ酸配列をもとに作 成するほかにもト既にデータベースに登録されている,親株(A
刀ぬA.痴の酵素遺伝子の相同性をもとに作成するとい
う方法も可能であり,酵素の精製の進捗度によっては険討が必要 になると思われる.
Fi g.6 挿入遺伝子断片の確認
4.まとめ
遺伝子組換えによる麹菌の酵素活性強化育種の確立のために, 麹菌の融合抹であるPM菌を対象として,遺伝子組換えに必要と なる知見の収集を行った.PM菌が敵′ \樹妹舶農を獲得し た原因として軋細胞融合により多種の酵素が発現されるように なったこと,或いは融合の過程で酵素の発現を制御する機構に何
らかの変異がかかったことなどが考えられ,この機構を解明して 醸造用麹菌に適用することができれば,有用な菌株の取得が期待 される。
遺伝子クローニングのための情報を得るために,ぺクテナーゼ 及びセルラーゼ酒性を有する酵素タンパク質の分離・精製を引き 続き行った.フスマを基材とする固体培地でPM菌を培養後,粗 酵素液を抽出してカラムクロマトグラフィーによる分離を試みた が,現段帽で最終的な精製標品を得るには至っていない.また, ぺクテナーゼ,セルラーゼのいずれの場合も,精製を進めるにつ れて酒性が低下する頚象が見られた.これ乱双方の酵素とも反